天正四四七年 葉月弐拾玖日
最早戦は終わりである。主を失った本願寺一行はあれよあれよという間、復帰不可能というほどまで落ちぶれる始末。此の現状を憂いた守護陣は、早々に戦線を離脱し療養に走る。
猛牛近藤にまたがり雨使い破風が放浪に出たかと思えば、鳶職高梨は先鋒の座を追放される始末。金剛原は戸田の封を為されたまま帰らず、呂決斗五十嵐は突如打ち上げられた。
かと思えば歌術使い西浦は未だ喉の調子が治らず、中山筋児君や武士坂口は行方不明である。最早這々の体という言葉さえ生温い、正に死に体であった。
それでも戦は続くのだ。将・羅魅礼須の率いる北条軍が襲い来る。差を開かされたとは言えど、天下統一まで手が届く位置につけている北条軍は、必ずや一行を殲滅にかかるだろう。
第一戦線、勢いのまま北条軍は諦めず立ち上がった来安小川を包囲。嗚呼またか、と民衆が悲嘆に暮れる中、来安は一蹴、大洋の申し子戸柱を斬り伏せる。
続く第二戦線も第三陣を攻められた来安だが、此れを退けると遂に着火。最早一人きりでも守護してみせようと第五戦線迄を駆け抜けた。
すると第四戦線、地底人井納の異能が自軍の猟犬を惑わせる! すかさず此の場面で三散華山田が第二陣まで駆け抜けると、優しき剛力羅が大きく腕を振り回し、入鋏にて井納をぶっ飛ばす!!
更には第六戦線、またしても同じ手段で第二陣を奪われた井納に対し、蝶々が飛来した隙に暴れん坊馬連手院が渾身の一撃! 此れならば問題はないと剛力羅、樽大砲にて井納を撃ち出し終いとする。
だが此れに油断をしたのは蹴威太田。囮作戦にまんまと引っかかった太田は射殺、巻き込まれた来安は溜まったものではない、早々に退散である。
あまりにもあんまりな展開に、伴天連思想青木もを突かれ決定機を逃してしまうのだった。
すると此の間隙を逃さぬ北条軍、平井坂本両守護者を絨毯爆撃に至る。これにて戦況は覆った。
――其の刹那であった。或れに見えるは何者ぞ。あの右腕から走る光は何と見る。目を見開くは本願寺一行。まさか或れは、否、然し。
此の局面に至って救いなど在るものか。北条軍の誰かが呟く。然し其れを人は救いと呼ぶのだ。
和尚が居る。煉獄の焔に焦がされた肌が、其の存在を伝える。故に、其の者は挑むのだ。極楽浄土へと導かん。
最早戦は終わりである。主を失った本願寺一行はあれよあれよという間、復帰不可能というほどまで落ちぶれる始末。此の現状を憂いた守護陣は、早々に戦線を離脱し療養に走る。
猛牛近藤にまたがり雨使い破風が放浪に出たかと思えば、鳶職高梨は先鋒の座を追放される始末。金剛原は戸田の封を為されたまま帰らず、呂決斗五十嵐は突如打ち上げられた。
かと思えば歌術使い西浦は未だ喉の調子が治らず、中山筋児君や武士坂口は行方不明である。最早這々の体という言葉さえ生温い、正に死に体であった。
それでも戦は続くのだ。将・羅魅礼須の率いる北条軍が襲い来る。差を開かされたとは言えど、天下統一まで手が届く位置につけている北条軍は、必ずや一行を殲滅にかかるだろう。
第一戦線、勢いのまま北条軍は諦めず立ち上がった来安小川を包囲。嗚呼またか、と民衆が悲嘆に暮れる中、来安は一蹴、大洋の申し子戸柱を斬り伏せる。
続く第二戦線も第三陣を攻められた来安だが、此れを退けると遂に着火。最早一人きりでも守護してみせようと第五戦線迄を駆け抜けた。
すると第四戦線、地底人井納の異能が自軍の猟犬を惑わせる! すかさず此の場面で三散華山田が第二陣まで駆け抜けると、優しき剛力羅が大きく腕を振り回し、入鋏にて井納をぶっ飛ばす!!
更には第六戦線、またしても同じ手段で第二陣を奪われた井納に対し、蝶々が飛来した隙に暴れん坊馬連手院が渾身の一撃! 此れならば問題はないと剛力羅、樽大砲にて井納を撃ち出し終いとする。
だが此れに油断をしたのは蹴威太田。囮作戦にまんまと引っかかった太田は射殺、巻き込まれた来安は溜まったものではない、早々に退散である。
あまりにもあんまりな展開に、伴天連思想青木もを突かれ決定機を逃してしまうのだった。
すると此の間隙を逃さぬ北条軍、平井坂本両守護者を絨毯爆撃に至る。これにて戦況は覆った。
――其の刹那であった。或れに見えるは何者ぞ。あの右腕から走る光は何と見る。目を見開くは本願寺一行。まさか或れは、否、然し。
此の局面に至って救いなど在るものか。北条軍の誰かが呟く。然し其れを人は救いと呼ぶのだ。
和尚が居る。煉獄の焔に焦がされた肌が、其の存在を伝える。故に、其の者は挑むのだ。極楽浄土へと導かん。
【 ̄│石│山│本│願│寺│ ̄】の続きを読む